神鋼電機株式会社(本社:東京都江東区、社長:佐伯弘文)は、自動車や家電製品などに使用される亜鉛めっき鋼板の製造工程に於いて、その鋼板の揺れによる品質の不安定性及び余分な亜鉛の使用を防ぐことができる空冷式では世界初となる電磁制振装置(非接触式サポートロール)を、新日本製鐵株式会社君津製鉄所殿の連続溶融亜鉛めっき2号ラインに納入し順調に稼動しています。又、新日本製鐵殿での順調な操業実績を背景に、韓国浦項綜合製鐵株式会社(POSCO)殿にも、来年8月に納入が確定しています。この装置の導入により、原料亜鉛の使用量がかなり軽減され、製造コストが大幅にセーブできます。 本製品は、電磁石が発生する吸引力を応用したもので、走行中の鋼板を非接触で支持するサポートロールとして機能します。非接触方式のため、めっき処理工程などで使用されている金属製サポートロールをこの装置に置き代えることにより、めっき直後の柔らかい鋼板表面を傷つけることなく鋼板を支持することが可能です。また、鋼板の反りを矯正したり振動を低減できるため、めっき厚が均一化されるとともに、めっき金属の消費量削減などの効果もあります。 制振装置は、鋼板から15〜20mm程度の間隔をあけて対向配置された、センサ付きの電磁石2台が基本構成となります。対向して配置された電磁石が鋼板を引き合うように吸引力を発生し、鋼板の反りや振動を非接触で抑制します。この制振装置を複数組並べることで、各種の板幅・板厚への対応が可能です。電磁石とセンサは高耐熱仕様ですので、めっき槽付近の高温環境でも水冷設備を必要とせず、ブロアなどの送風装置による冷却のみで使用可能です。また、電磁石は防塵ケースに収められており、メンテナンスフリーとなっています。 今回納入した装置は 7組の電磁石を鋼板の幅方向に並べた構成で、板幅610〜1250mmに対応するものです。導入後、鋼板に発生する反りと振動はそれぞれ1/3以下となるとともに、めっき厚さのばらつきが大幅に減少するなどの効果が得られ、好評を得ております。また、めっきに使用される亜鉛についても2〜5%の減量が見込まれており、2〜3年以内で投資額が回収されると言われています。又、他の用途としては、ローラーなどに接触させたくない製品の板厚の圧測定等が考えられます。 めっき鋼板の品質は、プレス加工品の仕上りやプレス金型の寿命にも影響します。このため、自動車や家電製品用の鋼板めっきラインを中心に本装置の導入が増加すると予想されます。既に、この制振装置については国内メーカーはもとより、韓国、台湾、欧米のメーカーからも、かなりの引き合いが寄せられており、今後積極的に対応する予定で、今後、年間3〜5セットの販売を計画しております。(1セット約1億円) |