神鋼電機株式会社(本社:東京都江東区、社長:佐伯弘文)は、青森県が推進している『あおもり「冬の農業」推進プロジェクト』の実践活動項目の一つである新エネルギー利用の一貫として実施する施設栽培の野菜や花きの苗床の温床マット用電源として、去る12月25日に、同プロジェクト推進による県の補助金を受けた青森県北津軽郡中里町の農家に、2基の小型風力発電装置を納入設置しました。冬期間の強風地域でもあり、過充電が心配されるほどの十分な発電量が得られており、通常電力とのコスト比較などの実証実験を併せて行いながら、実用化に向けたプロジェクトが順調にスタートしました。
青森県では、冬の青森の新たな可能性を拓くことを目的に、風力や太陽光、温泉、バイオマスなどの地域エネルギーを積極的に活用し、野菜や花き、果樹など施設栽培生産や販売、農産加工、観光、体験農業などを推進することで、冬期の就労促進や農家の収入拡大等を目指しており、平成14年度から平成23年度までの10年間の「冬の農業」推進プロジェクトとして積極的に実施展開中です。青森県では、地球の環境や資源を大切にする「循環型社会」の進行や、自然エネルギー活用などの社会環境やエネルギー事情の変化を先取りしたこのような取り組みを推進することにより、平成13年度時点での冬期間のハウス栽培面積99haを、平成23年度には約2倍の220haにする目標を設定しています。
今回当社が納入設置した小型風力発電装置は、青森県北津軽郡中里町で宿根カスミソウ、ハイブリッドスターチス、シンテッポウユリなどを栽培している農業の大川賢次郎さん宅で、設置された小型風力発電装置(当社型式WG30−20)は、風車部分の直径が3m、ブレード(羽)の長さが2mのタイプです。この風車を6.7メートルのポール上に設置したもので、この小型風力発電装置により、幅が1.2m、長さ5mの野菜や花の苗床を温める温床マット(消費電力500w)の2枚分の電気を賄うものです。
当社では昨年6月にこの小型風力発電装置を発表以来、03年12月末現在で9500件を越える問合せを頂くなど大きな反響を呼んでいますが、03年10月末から関東、中部、関西地区での先行販売に引き続き、04年1月からは中国、四国、九州地区での販売を開始しました。また、04年4月からは北海道、東北、北陸地区での販売を順次拡大していく予定でしたが、この度の青森県庁「冬の農業」推進プロジェクトチームからの強い要請もあり、この地区の発売に先駆けて厳冬期の設置工事に踏み切りました。
津軽半島に位置する北津軽郡中里町は、特に冬期には風の強い地域であり、当社の小型風力発電装置の能力が十分に発揮できるものと考えています。当社は地吹雪といわれる津軽平野地域の強風や積雪に対応するため、ブレード(羽)への着雪防止塗装や、発電機やバッテリー保護のための二重カバーなどを施した寒冷地仕様タイプを納入しました。当社では、こうした風の強い地域の農業関係に、大きな需要が掘り起こせるものと期待をしています。 |