神鋼電機株式会社(本社:東京都港区、社長:佐伯弘文)は、この程、いずれも当社製の精密パーツフィーダ、サーボモータ、HDモータ(ハイデンシティモータ)リニアモータ、張力制御装置、およびミクロン単位の位置制御技術などを統合活用した世界初方式により、1時間に30000個のICタグ用チップを超高速で実装する世界最速の『ICタグ高速製造装置』を自社開発しました。更にこれを、近々4万5千個までスピードアップすることにも取り組んでいます。(尚、従来の装置は1時間に5千個程度です。)
当社は、この『ICタグ高速製造装置』の自社開発に成功したことにより、今後、極めて近い将来、巨大市場になると予測されているICタグ製造関連ビジネスに参入することを検討しています。
ICタグとは1mm以下のICチップを搭載したタグ(荷札)のことで、メモリー機能があるICチップ(集積回路)と小型アンテナで構成され、専用の無線通信装置(リーダー、ライター)でICチップの情報内容を読み書きできます。また情報の書換えや繰り返し使用可能なことから、現在あらゆる商品などに付けられているバーコードの次世代版として、商品流通に大変革をもたらすと考えられています。既に、アパレル、食品業界、書籍などの業界でも実用化の試みが始まっており、スーパーマーケット等における支払金額の自動集計など、身近な生活の面やビジネスの面にも浸透し、爆発的な普及の機運が高まっています。
当社はこのような市場背景から、装置の大半を当社の製品や技術を結集することで世界最速のICタグ製造装置の開発に成功しました。
この装置の最大の特徴は、ICタグに使用される微細なチップを、アンテナフィルムに正確にしかも超高速で直接実装できることにあります。
従来はカットされたウェハーから一個一個チップを取り出し、予めインターポーザルにセットしたものをアンテナ部分に装着していたものを、当社の精密パーツフィーダによりバラバラ状態のICチップを自動整列供給し、アンテナフィルムを止めずに常時走行させた状態で、ICチップを直接アンテナの所定位置に実装することで高速化することができました。更に、検査、巻き取りまでを一貫作業とすることで、かってない超高速化を実現しました。また、一列実装のため、アンテナフィルムの幅や間隔に違いがあってもフレキシブルに対応が可能です。
ICタグが普及していくためのハードルの一つとして、ICタグそのものの低価格化があります。現在はICタグの形状、大きさ、用途、使用数量により、ICタグ一個の価格は200円から数十円程度といわれていますが、将来、ICタグが大量に利用されるためには、一個5円程度にする必要があるといわれています。このような状況下で、当社のICタグ高速製造装置は、高速にしかも大量にICチップを実装できることから、ICタグのコストを大幅に引き下げること可能です。
当社はこの装置を外販せず、来るべきICタグの普及社会に対応するため、ICタグメーカーなどと組んでジョイントベンチャー企業を設立し、ICタグ製造関連のビジネスへの参入を図りたいと考えております。なお、海外のICタグメーカーからも、強い興味と関心が寄せられており、07年度には開発したICタグ製造装置を活用して本格生産体制(伊勢製作所)を構築し、初年度は年間5億円、世界市場を睨めば数年後には年間50億円以上の市場と予測されているので、30〜40億円規模の売上を目指します。 |
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【応用した当社独自の技術など】 |
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精密パーツフィーダ |
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サーボモータ及びサーボドライバ |
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HDモータ(ハイデンシティモータ) |
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リニアモータ |
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張力制御装置 |
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画像処理技術(アンテナフィルム及びICチップの位置認識技術、補正技術) |
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ミクロン単位の位置制御技術 |
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【特許件数】国内出願件数…10件、外国出願件数…2件 |
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