シンフォニアテクノロジー株式会社(代表取締役社長:武藤昌三、本社:東京都港区)は、東京エレクトロン株式会社殿(本社:東京都港区、社長:東 哲郎様)がリードする共同研究プロジェクト『スマート・セル・プロセシング』※1に参画、再生医療分野へ本格的に事業参入します。
東京エレクトロン社殿はヨーロッパ子会社を通じて、細胞培養の基礎および臨床研究が盛んな英国に、幹細胞テクノロジー研究所を開設(10月1日発表)。産官学パートナーと協力し、半導体製造で培った技術を応用して、臨床レベルの品質をもった幹細胞の自動培養・検査プロセスの確立を目指しています。当社はこのプロジェクトに参画し、長年、半導体製造の分野で培ったクリーン搬送技術を応用することで滅菌機能を備えた細胞搬送装置を開発、事業化を目指します。
近年注目される再生医療の状況は、皮膚や骨、軟骨などの再生は実用レベルに達しており、欧米を中心に既に50品目以上が製品化され、約200品目が治験中という状況ですが、非常に高価です。細胞培養作業には多くの工程があり、現状では研究者や作業者の手技や勘所に依存した高度な『職人技』が必要とされています。しかし、今後の細胞治療の実用化に向けた研究が進むにつれ、培養作業の自動化の必要性が高まっています。また、培養工程や検査工程を自動化することで、人手を介さず安全で品質のバラツキの無い細胞を生産することが可能となります。細胞培養作業の工程では、細菌やウイルスなどの微生物によるコンタミネーション(汚染)があってはならず、全ての微生物を殺して無菌性を保証する「滅菌」が重要なファクターとなります。
当社では従来から細胞培養同様、高いクリーン性が求められる半導体製造分野で、多くの製品を提供し、高い技術力と実績を培ってきました。中でも半導体製造装置の出入口としてクリーン度の高い装置側とクリーン度が低い外側とすることで、クリーンルーム建設・運転経費を抑制する「ロードポート」では世界トップシェアを堅持しています。また、ロードポートとウェーハ移載ロボット、ウェーハの移載空間を清浄に保つEFEM技術では、高クリーン度対応、高速かつ低振動のウェーハ搬送など、多様な要求にマッチしたカスタマイズ製品を、低コストで顧客に提供し、高い評価をいただいています。
当社では、今回参画する『スマート・セル・プロセシング』において、既存のクリーン搬送技術(ロードポート、EFEM)を無菌接続搬送技術へと応用することにより、細胞が入った培養容器を自動で培養・検査工程にハンドリングする装置の開発、および装置内を無菌状態に保つための滅菌機能での技術提供を担います。
再生医療周辺産業※2は2020年に世界で1.0兆円、2030年には5.2兆円となることが予測されています。今回、当社では『スマート・セル・プロセシング』への参画により、再生医療分野への事業参入を実現するとともに、医療分野に積極的な有力企業とのパートナーシップにより、医療分野での新たな事業展開を強力に推し進め、将来、これら医療分野を事業の柱として育成する計画です。
また、本プロジェクトへの参加により、細胞培養自動化の早期実現に協力させていただき、大量生産によるコストダウンによって、再生医療、細胞治療が普及し、重大な疾病や難病で苦しむ患者さんが、安価で治療を受けることができるような医療環境の構築へ寄与できることを期待しています。 |