2017年10月25日
シンフォニアテクノロジー株式会社(代表取締役社長:古谷浩三、本社:東京都港区)は、医療用や協働ロボット用など高精細なロボットアームなど向けに、超小形電磁ブレーキを開発しました。
電磁ブレーキは、コイルに通電することにより発生する電磁力を利用して回転運動を止める装置であり、開発した無励磁作動型のスプリングクローズ保持ブレーキは、主に産業ロボットや工作機械などの保持・制動用に用いられています。当社では、1957年に生産を開始して以来、様々な用途開発を行い、我が国トップクラスの実績を重ねてきました。近年、ロボットアームの複雑化・高性能化が進む中で、省スペース化に加え設備の自動化に伴うロボット開発、人間の手のように繊細に動くロボットの開発など、小形の電磁ブレーキに対する需要が増加しています。
当社では、すでに直径φ20mm 以下の電磁ブレーキを商品化していましたが、医療用・協働ロボット用として、さらに小形、薄形化に向け、開発を進め、直径φ10mm、高さ10mm でトルクは0.002Nm の業界最小、最薄で省エネタイプの超小形電磁ブレーキ(形式SBR-10-006EZ)を開発しました。
今回の開発した電磁ブレーキの小型化においては、限られた空間内で消費電力を抑えつつ大きなトルクを発生させることが重要となります。また、消費電力の低減については、絶縁方法の工夫および巻線の占積率を向上することで消費電力の低減を図り、磁界解析によりヨークの薄肉化を図り巻線スペースを増やしました。また、高トルク化には、ねじを使用しない構造とすることでトルクを発生させる空間を増やしました。これらにより、トルク/容積で2倍を達成しました。
また、一般的に、ロボット用電磁ブレーキの摩擦面には樹脂をバインダーに用いた摩擦材を使用しますが、超小形に適用するには成型難度が上昇し、摩擦材の製造コストが跳ね上がるという課題もありましたが、当社では開発本部にトライボロジーを研究するチームがあり、この研究成果を摩擦面構成に活かすことでコストアップ抑制を実現しました。さらに、ねじを使用しない構造は自動組立にも適した構造となっています。
本開発品の用途としては、卓上ロボット、医療用ロボット、サービスロボット、義手、ドローン(遊戯ロボット)、遊戯機械(パチンコ等)、電子部品実装機など、ロボットの指、手首など関節の保持、中でも医療支援装置(ロボット)などの高機能・高付加価値なロボット用途にも大きな需要が見込めます。
当社では今回開発した超小形電磁ブレーキで、3年後に年間5億円の売り上げを計画しています。また、電磁ブレーキ全体では現在から倍増の年間100億円を目指しています。
写真右がSBR-10-006EZ(φ10mm)、左がSBR-20-027EZ(φ20mm)
形式 | 外形 | 高さ | トルク | W |
SBR-10-006EZ | φ10mm | 10mm | 0.002Nm | 0.43W 使用 |