トップページへ戻る

地中埋込形マンホールポンプ制御盤を開発
浸水からまもる釣鐘形容器に納め道路下に

〜都市景観を損なわず、交通の障害にならず、いたずらにも強く〜

当社は、あらゆる規模の下水処理施設の電気設備ならびに集中監視制御システムの開発に幅広く取り組んできました。そのひとつが下水道のマンホールポンプ自動制御システムです。このほど、ポンプ制御機能と監視機能を一体化し、高度に電子化した制御監視ユニット(制御盤)を開発し、さらに発想を転換、制御盤本体をステンレス製の釣鐘形容器に納め、道路下に埋め込む「地中埋込形マンホールポンプ制御盤」を日本で初めて実用化しました。愛知県岡崎市に納入された第1号は4月から運用を開始しています。地下埋設により、制御盤を納めた大きなボックスが地上からなくなり、維持管理上の難点となっていた都市景観の破壊、交通への障害、不法な広告、いたずらなどの問題を一挙に解決することができました。

zu1.gif (14362 バイト)

■マンホールポンプ制御盤とは
 下水管は、下水を自然流下させるため勾配をつけて埋設されています。したがって地表からあまり深くならないように、所々でポンプアップし、再び自然流下させています。通常は中継ポンプ場でおこなわれていますが、比較的小規模のものは道路のマンホールの下に設置されたマンホールポンプでも対応しています。下水道の中継ポンプは下水管が川や運河を越すなど難しい条件の場所で下水をスムーズに流すための重要な施設です。マンホールポンプ制御盤は下水流量を自動的に感知し、ポンプを自動運転します。

■なぜ「地中埋込形」なのか
 下水道にはいろいろなものが流れてきます。それらの原因による「つまり」などのためポンプの維持管理が必要になります。このためポンプのそばに制御盤を設置するのが普通です。これまでは道路のはじや道路にそった私有地などに設置されていましたが、景観や交通上の問題、用地の問題などがありました。神鋼電機ではこれらの問題を解消するため制御盤を地中に埋設する方法を考案しました。

地下に埋設するメリット
1.制御盤を入れた郵便ポストより一回り大きなボックスが地上から姿を消すため、都市景観を壊すことがなくなりました。
2.道路ぎわや歩道の障害物、道路上の突起物がなくなり、交通の障害が解消されます。
3.地下に埋め込むので、風雨にさらされたり太陽光で熱せられるなど劣化を促進する要素が極端に少なくなります。専用のハンドホール内に釣鐘形容器に納め設置しているため、温度環境が安定していて塵埃も少なく電子機器の使用環境として非常に安定した良好な環境を保つことができます。このため、設備寿命(耐用年数)ものびる可能性があります。
4.地上の公共設備によくある、心ない人のいたずらや、広告物、落書きなどの被害を受けることがなくなり、手入れや清掃修理などの無用なコストが発生しません。
5.本体は地下に埋設していますので、地上に必要なスペースが極端に少なくなりました。

ph-1.bmp (37544 バイト)
釣鐘形容器

ph-2.bmp (34136 バイト)
制御盤本体

 

■釣鐘形容器で浸水対策
「地中埋込形マンホールポンプ制御盤」は、ポンプの制御機能と運転状況の監視機能を一体化し、高度に電子化した制御監視ユニットが組み込まれ、維持管理の利便性が向上しているのが機能面での特長です。さらに本体は地下ですが、監視機能を備えたコントロールユニットは小形化して地上に残し、近くの電柱などに引込盤として取り付けることを可能にしています。
 しかし、電子機器を地中に埋設することになりますから、@浸水をどう防ぐかA設置作業をいかに容易にするかB制御盤自体のメンテナンスをいかに行うかが、開発にあたっての重要なポイントになりました。
 そのため、釣鐘形の容器を制御盤にかぶせ、埋設作業を容易にするためのコンクリート製の箱(ハンドホール)に納める方式を考案しました。

1. 水没時の運転継続を可能する釣鐘形容器の採用
 主制御用マルチメディアコントローラや主回路コンビネーションブレーカなどからなる制御盤本体(1.5kwのマンホールポンプ2基を制御)には、ステンレス製の釣鐘形容器(直径506mm、高さ900mm)が上からかぶさります。釣鐘形容器からは空気が抜けませんから、コップを逆さにして水中に沈めるのと同じように、万が一据え付け用ハンドホ−ルに水がいっぱいに入った場合でも、容器内部まで水が上がることはなく、制御盤本体が水に浸かることがありません。簡単で効果的な方法です。

2. 埋込用ハンドホールの採用
 地上形に比べると、埋込形は、マンホールポンプの直近に隣接して設置できるため、工事量は少なくてすみます。また、釣鐘形容器に入れた制御盤本体をハンドホールにはめ込む方式を採用しました。ハンドホールには、制御盤本体の取り付け金具やケーブル引き出し口、排水口などを、出荷前に工場で取り付け加工しています。このため、現場での工事は簡単に短期間にできます。
 埋込用ハンドホールはコンクリート製で重量のある車輌が通るなど道路の形態に応じた荷重対応ができます。また、ハンドホール上部の蓋(マンホール)のサイズは直径600mmと標準サイズですので、市販されているマンホールの蓋をそのまま使うことができます。
 埋込用ハンドホールの採用により、道路掘削、基礎固め工事から始まって道路舗装修理、据付け、試運転まで予備日を入れても5日程度の工期で設置作業を完了できます。費用は地上据付形と比較して2割アップ程度におさえられます。

ph-3.bmp (58692 バイト)
ハンドホール
(右下のケーブルがポンプや引込盤につながる)

3. 保守点検用吊り上げ台車の採用
 地下に埋設された制御盤本体の保守点検を容易におこなえるようにするため、専用のリフタ式吊り上げ台車が付属しています。ハンドホール内部にはガイドがついていますから、この台車で釣鐘形容器ごと簡単に制御盤本体を引き上げられます。

zu2.gif (9266 バイト)

4. 操作ユニットは地上に
 「地中埋込形マンホールポンプ制御盤」では、商用電源ブレーカ、非常用発電機ブレーカ、取りはずして持ち運びできるハンディターミナル式タッチパネル操作盤、電話機などからなるコントロールユニット(引込盤)は地上に残されます。引込盤は小形のブレーカボックス程度の大きさですので、近くの電柱などに取り付けることができます。さらに操作盤にはタッチパネル方式が採用され、誰でも簡単に操作できます。また、一般公衆回線を利用して中央監視所から低コストでの制御盤の遠隔操作や監視も可能です。

■愛知県岡崎市のケース:景観に配慮した市街地づくりならではの選択
 「地中埋込形マンホールポンプ制御盤」第1号機は愛知県岡崎市に納入され本年4月から稼動を始めました。設置場所は民家や駐車場が隣接した歩道のない十字路で、地上に制御盤を設置するのは難しい条件でした。「埋込形マンホールポンプ制御盤」はマンホールポンプに隣接して道路の角切りの部分に設置され、引込盤は数m離れた電柱に取り付けられています。5月の点検でも順調に作動していることが確認され、これからの雨の多い季節にはその性能が改めて確かめられると期待されています。
 下水道の普及に力を入れる岡崎市は、一方マンホールの蓋にも岡崎城のデザインを施すなど、細かいところまで気を配った市街地の整備を推進していることで知られています。そのような都市景観を大切にするという観点からも、違和感のある構造物を持ち込まない「地中埋込形マンホールポンプ制御盤」は評価をいただきました。
 この「地中埋込形マンホールポンプ制御盤」の開発は、当社豊橋事業所が担当しました。その過程で地元の豊橋市のご協力を得ました。豊橋市におかれても、実際に試験機を設置、テスト中です。

 「地中埋込形マンホールポンプ制御盤」は7月28日より北九州市の西日本総合展示場で開かれる「下水道展`98北九州」に出展いたします。
 当社では、このほかにも、周囲の環境にマッチしたデザインのモニュメント形マンホールポンプ制御盤を製造しています。これらの製品を通して今後とも環境や景観に配慮した水処理電気システムの開発を続けてまいります。

ph-4.bmp (61260 バイト)
地中埋込形マンホールポンプ制御盤の据付け状況

 

地中埋込形マンホールポンプ制御盤の詳しい資料をご希望の方は、電子メールまたは下記へご連絡ください。

〒105-8564 東京都港区芝大門1-1-30 芝NBFタワー
Tel. 03-5473-1803
神鋼電機株式会社 広報宣伝室まで

ニュースリリース一覧に戻る>>
製品情報>>

 

このページに関するお問い合わせ先 はこちら