非接触ICカード式出改札システムを納入
〜鉄道関係での本格実用化は国内初〜
広島市安芸区のコミュニティ交通
当社は、広島市安芸区の短距離交通システム「スカイレール」向けに、ソニーの非接触ICカードを応用した運賃収受システムを受注、同交通の建設を担当する三菱重工・神戸製鋼共同企業体に納入いたしました。スカイレールは1998年から営業運転を開始、出改札システムも稼働しています。非接触ICカードを応用した運賃収受システムが本格的に運用されるのは、鉄道関係では国内で初めてです。
■スカイレールタウンみどり坂
スカイレールは、広島市郊外に造成中の大規模住宅地「スカイレールタウンみどり坂」(計画人口約1万人)の交通手段として、最寄りのJR三陽本線・瀬野駅とニュータウン中心部1.3キロ(3駅)を結ぶ、短距離交通システムです。この間には150メートルもの高低差があるため、三菱重工業(株)と(株)神戸製鋼所がロープウェーと懸垂形モノレールの技術を取り入れ、共同で開発した新交通システムです。最終的には、25人乗りの懸垂形車両12両が運行されます。経営は「スカイレールサービス(株)」が担当します。
■定期券と優待パスにICカード
プリペイドカード機器や自動券売機の分野で実績をもつ当社は、非接触ICカードを応用した運賃収受システムについても開発を進めてきました。今回スカイレールに導入されたシステムはその成果のひとつです。システムの機器構成は、定期券発行機1台、自動券売機7台、自動改札機6台、窓口携帯発行機1台からなっています。
乗車券、回数券、身障者乗車券は、既存の磁気塗布式の切符ですが、通勤、通学定期券と優待乗車証に非接触ICカードを採用しています。自動改札機上面に取り付けられたリーダ/ライタとICカードとの送受信電波には、ラジオ、ペースメーカーなど他の電子機器に影響を与えない短波帯を使用しました。
読み取り可能範囲は、リーダ/ライタから3センチ程度まであり、乗降客は、ICカードを定期入れに入れたままリーダ/ライタ部分に近づけるだけで改札口を通ることができます。
リーダ/ライタにカードを挿入する接触形に比べ処理時間が短くなり、ラッシュ時の混雑を改善することができます。
リーダ/ライタにICカードを近づける
だけで改札を通ることができる。
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■稼動状況などのデータ収集も容易に
ICカードは大容量の記憶ができるために、システムの拡張が容易で、偽造が困難などセキュリティの面でも優れた特性があります。
また、カードの発行来歴、顧客管理を定期券発行機でおこなっているため、紛失・破損があっても、カード固有の番号を確認するだけで、その場での再発行が可能です。
また、自動改札機自身が、ICカードや切符の認証、判定、利用履歴データの蓄積を行っているため、「データ収集カード」をリーダ/ライタにかざすだけで、その利用履歴データを収集することができます。
自動改札機のリーダ/ライタ部分
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さらに、非接触ICカードはリーダ/ライタ端末との接触がないためカードの磨耗がなく、端末のメンテナンスも容易です。 以上のように、非接触ICカードは、乗降客の利便性だけでなく、管理や機器のメンテナンスが容易なため、コミュニティ交通の運営にとって重要な省力化に役立つことが期待されます。
今回導入された非接触ICカードでは、バッテリーレス化を電磁誘導方式で実現し、また、メモリーとしてEEPROMを内蔵して、数年間の継続使用が可能となっています。現在のところまだ単価が高いため、再利用できるよう、氏名、乗車区間、有効期間など必要な事項を印刷したシールを張り付け、再発行時に張り替える方法をとることになります。将来は書換可能なリライトカード方式を検討しています。
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