当社は、このほど、財団法人鉄道総合技術研究所(以下、鉄道総研)殿、及び、大同メタル工業株式会社殿との三社の共同開発により、鉄道車両やバスをはじめとする大型ハイブリッド車両(以下、HEV)用に適用できるフライホイール式の蓄電装置について実用化に目処をつけました。
現在、次世代の省エネ車両の核となる実用的な蓄電装置の開発競争が、内外で熾烈を極めています。今回の開発により大型HEV用蓄電装置は、急速充放電・高電圧・大出力・多頻度・長寿命・低コスト等の課題を解決することができ、公共交通機関の一層の低公害化や省エネ化の可能性を一気に高めることができます。
現在、蓄電装置の開発では、燃料電池やニッケル水素など、化学反応を原理とする電池が注目されています。しかし、この種の電池は化学反応による劣化を伴うため、HEV用として急速充放電を繰り返す用途では、一般的に短寿命となる課題をかかえています。
こうした背景の下で、鉄道総研殿が国土交通省殿からの補助金を受け、当社と大同メタル工業殿と3社で試作した蓄電装置は、モーターを減圧容器内で高速回転させ、モーターの回転体に運動エネルギーを蓄える方式です。鍵となる軸受部は、高速回転時に生じる高圧の油膜とリング状の磁石とを併用して回転体を浮上させる、新概念の滑り軸受方式を開発しました。また、エネルギーの授受は電気的に非接触で行い、速度制御はインバータで行う方法を採用しました。これらの実用的な方法により、高出力のHEV用蓄電装置でありながら、従来の課題であった劣化や軸受の転がり疲労を皆無とさせ、最も低コストで長寿命の蓄電方式となる可能性を得ました。特にこの蓄電装置は、直流600V以上の大形ハイブリッド車両に適しています。
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