メッキラインや塗装ラインなどで、鋼板の反りと振動をカット。
C種対応電磁石採用による日本初の
「薄板鋼板用電磁制振装置 」。
自動車メーカーや家電メーカーでは、製品のキャビネットとして薄板鋼板を
プレス加工して使用しています。電磁制振装置は、熱延、冷延後の薄板鋼板の亜鉛
メッキ、塗
装あるいは洗浄ラインで、ローラーとローラー間を高速で走る薄板鋼板
の反りや振動
を抑え、メッキ膜や塗装膜の厚さを均一にするために使われます
。メッキ膜や塗
装膜の厚さが均一になることにより、今まで以上に精密で美しく効
率的なプレス加工
が可能となる他、メッキ材料や塗装材料のロスを防ぎます。
「薄板鋼板用電磁制振装置」は、300℃の高温まで耐えられる無機絶
縁材料を使い、神鋼電機の絶縁技術を駆使した「C種対応電磁石」を採用。高温下での空冷による作動が可能です。
薄板鋼板用電磁制振装置の特長
●非接触で鋼板のそり矯正(パスライン矯正)
本装置は、走行して
いる鋼板の表面に電磁石を配置し、センサーで反りや振動量を検出し、磁
力で鋼板の平面性を保つとともに振動も抑えるというメカニズ
ムです。機器構成は、電磁石、渦電流式変位セン サー、制御ユニ
ット、パワーユニットからなり、メンテナンス性に優れたシンプルな構造を実現しました。
<図1:薄板鋼板用電磁制振装置のメカニズム>
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<図2:薄板鋼板用電磁制振装置の構成例>
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溶融亜鉛メッキ鋼板の製造ラインでは、高温 (420℃以上)で溶解した亜鉛合金の溶液の中を200m/分という高速で薄板鋼板を走
らせメッキします。しかし、上下のローラーでテンションをかけられながら走る薄板
鋼板は、上から見るとわずかに中央部が外側にふくらんだり(C反り)します。また、ワイピングノズルの風圧による、細かい振動も伴っていま
す。このため、メッキ層の厚さにむらができ、電気メッキに比べメッキ層の厚み制御がむずかしくなります。
対象鋼板、条件により違いますが、C反りの場合、200m/分で走る厚さ0.5mmの鋼板
が非矯正時に±4mm程度の反りが発生するのに対し、本装置による矯正時には±1mm以
内の反りに収まります。また、薄板に減衰を負荷して振動を低減します。
<図3:薄板鋼板用電磁制振装置の性能例>
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<図4:C反り矯正能力例>
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●高応答回路により制御安定性が高い
本装置では、センサーを電磁石の中央に設置し、鋼板の状態を正確に検出することにより、安定性の高いシステムを実現しました。センサーは、約1/100mmの分解能をもつ渦電流
式変位センサーを採用し、高応答性と精度を確保して います。
●高温対応電磁石を採用
溶融亜鉛メッキ工程では、420℃近くの高温で亜鉛合金の溶解を行っています。薄板鋼板用電磁制振装置はこのような高温環境下で使用されるため、高温対応電磁石を冷却する必要が
あります。本装置は、日本ではじめてC種対応電磁石を実用化しました。C種対応電磁石は、これまでのH種対応電磁石に比べ、定格電
流の範囲を大きくすることができ、より高い温度で使用できます。また、電磁石の冷却も、空冷というシンプルで安全な構造で対応することが可能です。
C種対応電磁石の特長
●省資源、高いメンテナンス性
メッキ層を均一にできれば必要以上にメッキ層を厚くせずに済み、メッキ材料を減
らしコストを削減できることになります。さらに、冷却方式として空冷式を採用。水冷式に比べ、安全性が高く、装置がシンプルでコンパクトになり、その結果、メンテナンス性が向上します。
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